【令和4年度版】使わないともったいない!木造住宅の購入に活用できる「地域型住宅グリーン化事業」とは?

【令和4年度版】使わないともったいない!木造住宅の購入に活用できる「地域型住宅グリーン化事業」とは?

住宅の新築や購入は、一生のなかでもとても高い買い物です。そんなときに活用したくなるのが、補助金の給付や税金の免除といった優遇制度。住宅が完成してから「こんな制度があったのか」「使っておけばよかった」と後悔しないためにも、利用できそうな制度についてしっかりと情報収集しておきたいものです。

数ある住宅支援制度のなかでも、特に注目したいのが「地域型住宅グリーン化事業」。地元の中小規模の事業者と建物の施主に対して、国が最大150万円の支援金を給付する制度です。支援金の金額は工事費の総額から差し引かれるため、住宅の依頼主も間接的に恩恵を受けられます。

対象となるのは、長期間快適に住み続けられる機能を備えた住宅や、環境に配慮した住宅など。老後まで同じ場所で快適に生活したい方、石油や天然ガスといった一次エネルギーの消費量を抑えて光熱費を節約したい方にぴったりの制度です。今回はそんな、新築住宅の工事費削減が期待できる「地域型住宅グリーン化事業」について詳しく解説します。

地域型住宅グリーン化事業とは?

そもそも、「地域型住宅グリーン化事業」とは何なのでしょうか?令和4年度の募集要項には、次のように記載されています。

本事業は、地域の木材関連事業者、建材流通事業者、中小住宅生産者等が連携体制(グループ)を構築し、グループ毎の住宅生産システムの共通ルールに基づき、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅の整備及びこれと併せて行う三世代同居への対応等に対して支援を行うことにより

(1)グループによる住宅生産者へのサポート・育成等の取組を通じた、地域における木造住宅生産体制の強化及び、省エネルギー性能や耐久性、耐震性※等に優れた木造住宅の供給拡大
(2)関連産業の多い、地域の木造住宅市場の振興による地域経済の活性化
(3)地域の住文化の継承及び街並みの整備
(4)地域の林業・木材関連事業者と住宅生産関連事業者との連携構築を通じた、木材需要の拡大
(5)住宅の省エネルギー化に向けた技術力の向上
(6)若者・子育て世帯の支援や、三世代同居など複数世帯の同居がしやすい環境づくり 等

を目指すものです。

出典:令和4年度 地域型住宅グリーン化事業 募集要項/地域型住宅グリーン化事業公式サイト
※ 耐震性については別紙1を参照

つまり、地域型住宅グリーン化事業の制度を設けた理由は、省エネルギー性能や耐久性などに優れた木造住宅を整備したり、三世代同居へ対応したりするため。そして木材の生産加工や住宅の建設に関わる事業者に対し、木造住宅を建てる際に優遇措置を取るため、ということです。

地域型住宅グリーン化事業で補助を受けるのは素材を調達したり工事をしたりする事業者ですが、事業者が受け取った補助金額は工事費用から差し引かれるため、今まさに住宅を購入を検討している方が特に恩恵を受けることができます。

地域型住宅グリーン化事業を利用する際のポイント

地域型住宅グリーン化事業は指定されている条件が複雑で、依頼する住宅の種類によっては建築スケジュールにまで配慮しなければなりません。また、依頼主の方で何か準備しなければならないのかと混乱することも。ポイントを抑えて、スムーズに地域型住宅グリーン化事業を適用できるように段取りを把握しておくことが大切です。
あらかじめ依頼主が把握しておくポイントとしては、以下の3つがあげられます。

  1. 対象になっている施工業者を選ぶ
  2. 申請は施工業者が行うため、依頼主が何か手続きを取る必要はない
  3. 工事を開始するのは採択通知を受け取ってから

地域型住宅グリーン化事業の対象となっているのは、地域にある中小規模の事業者、ハウスメーカーです。全国展開している大規模な事業者や大手ハウスメーカーは対象外のため、依頼先選びに注意してください。対象になっている事業者は、地域型住宅グリーン化事業の公式サイトから確認できます。もちろん、マイホームパートナーでも、地域型住宅グリーン化事業の対象となる施工が可能です。

補助を受けるための申請手続きに関しては、依頼主が動く必要はありません。施工業者が申請するため、住宅の建築を依頼する際に地域型住宅グリーン化事業の支援を受けたい旨を伝えましょう。

工事を開始するのは、地域型住宅グリーン化事業の採択通知を受け取ってからです。採択通知を受け取る前に工事を始めると、せっかく準備をしたにもかかわらず支援の対象外になってしまいます。工事開始の時期を基準に引っ越しの計画を立てることも大切です。

地域型住宅グリーン化事業の適用条件は?

地域型住宅グリーン化事業の支援を受けるには、さまざまな条件を満たす必要があります。具体的には下記9つの項目が共通要件となり、住宅の種類によって利用できる補助金額も変わってくるため、要件をきちんと整理しておくことが大切です。詳しいことは逐一、専門家である事業者に相談し、自身の住宅へのこだわりや予算を踏まえながら考えていくことをお勧めします。

(1)建築建基準法第2条第5号が定義する主要構造部が木造である
(2)グループの構成員である中小住宅生産者等により供給される新築の住宅
(3)住宅の種類ごとに設けられた要件を全て満たす
(4)設計者、施工管理者、大工技能者のいずれか1人が、定められた講習会等の受講者等である
(5)採択通知に記載されている日付以降に着工する
(6)主要構造部に用いる木材は、地域材を積極的に使用する
(7)住宅が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」第9条第1項に基づく「土砂災害特別警戒区域」に掛かっていない
(8)施工事業者は元請けとして工事を行う
(9)外皮計算や一次エネルギー消費量計算に寄与する工事は、原則元請けの施工事業者が担当する

地域型住宅グリーン化事業の支援の対象となるのは、主要構造部が木造の新築の住宅。条件の8と9は、契約形態等に関する項目となっています。工事を依頼する事業者と事前にしっかりと打ち合わせをし、確実に支援を受けられる状態にしておくことで、住宅購入の費用負担をぐっと抑えることができるでしょう。

より高額な補助を受けられるZEH(ゼッチ)住宅って?

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「ZEH」とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、1年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅のことです。外皮の断熱性能を向上させるほか、高効率設備を導入するなどして、エネルギーの消費量の削減と快適な居住環境の実現を目指します。

また断熱性能については、地域ごとに冬の冷え込み方等が異なるため、エリアごとに細かい基準を設けています。

「ZEH」に認定された住宅は、地域型住宅グリーン化事業においても特に優遇されており、より手厚い補助を受けることが期待できます。もちろんエネルギー効率に優れた住宅ですから、ランニングコストを抑えつつ、快適に過ごすことのできる家というのはご家族にとっても嬉しい

「ZEH」には「Nearly ZEH」や「ZEH Oriented」といった複数の種類がありますので、ご自身の計画されている注文住宅が条件に該当するか、そういった住宅を建てることができるか、事業者に確認してみるのが良いでしょう。

地域型住宅グリーン化事業の補助金額は?

それでは、住宅の種類ごとの適用条件と、補助金の上限金額を長寿命型住宅、ゼロ・エネルギー住宅型、高度省エネ型住宅に分けて解説します。

長寿命型住宅へは最大140万円を補助

まず認定長期優良住宅と認定された住宅に対しては、最大で140万円の補助が給付されます。条件は以下の2つで、いずれか1つを満たすものが該当します。

条件上限金額詳細
ZEH水準を満たした認定長期優良住宅140万円ZEH水準であることを認定書で確認できない場合は、BELS 評価書や住宅性能評価書を取得する
ZEH水準を満たしていない認定長期優良住宅110万円指定期日までに物件登録と交付申請が必要
※令和4年度の場合、平成27~令和3年度の間に4戸以上同じ補助金を使って建物を建てた事業者は上限金額が減額される。ZEH水準を満たした認定長期優良住宅は上限金額125万円、ZEH水準を満たしていない認定長期優良住宅は上限金額100万円になる。

表に登場する「認定長期優良住宅」とは、長期間にわたり良い状態で使い続けられるよう、さまざまな措置を講じている住宅のことです。一定の構造・設備・面積等を満たすほか、居住環境や自然災害などへの配慮も求められます。老後まで長く同じ場所に住み続けようと考えている方や、子供や孫の世代へ受け継ぐことができる住宅を建てたいと思っている方は、長寿命型住宅への補助金を活用してみてください。

ゼロ・エネルギー住宅型(ZEH)へは最大150万円を補助

ゼロ・エネルギー住宅型(ZEH)へは、最大150万円の補助金が給付されます。ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedで条件や補助金額が異なるため、事前に事業者に確認をしておきましょう。全体で共通の条件は、年間の一次エネルギー消費量の収支が概ねゼロになる住宅を建てること。細かい条件の違いや補助金額の上限は以下の通りです。

条件上限金額詳細
ゼロ・エネルギー住宅(Nearly ZEH を含む)140万円Nearly ZEHの場合、建設地は寒冷地、低日射地域もしくは多雪地域のいずれかに限る
ゼロ・エネルギー住宅で、なおかつ認定長期優良住宅である(Nearly ZEH を含む)150万円Nearly ZEHの場合、建設地は寒冷地、低日射地域もしくは多雪地域のいずれかに限る
ZEH Oriented90万円建設地は都市部狭小地、または「高度地区において高度斜線が設定されている地域」等に限る敷地面積は85平方メートル未満である必要がある平屋建て以外の住宅である必要がある多雪地域も対象とする
※令和4年度の場合、平成27~令和3年度の間に4戸以上同じ補助金を使って建物を建てた事業者は上限金額が減額される。ゼロ・エネルギー住宅は125万円、ゼロ・エネルギー住宅でなおかつ認定長期優良住宅である場合は135万円、ZEH Orientedは75万円となる。
※ZEH Orientedの都市部狭小地は、第一種及び第二種低層住居専用地域、第一種及び第二種中高層住居専用地域である。

ゼロ・エネルギー住宅型への補助は、建設地に関する要件が細かく決められているため注意が必要です。寒冷な地域だと、比較的補助を受けやすい傾向にあります。ハウスメーカーと綿密に相談をしながら補助金の利用を検討することをお勧めします。

高度省エネ型住宅へは最大90万円を補助

高度省エネ型住宅では、最大90万円の補助を受けられます。対象となる住宅の条件は、所管行政庁から認定された「認定低炭素住宅」で、外皮性能と一次エネルギー消費量がZEH水準であることを認定書で確認できること。認定書で確認できない場合は、BELS 評価書や住宅性能評価書の取得が求められます。詳細な条件と上限金額は以下の通りです。

条件上限金額詳細
ZEH水準の認定低炭素住宅90万円ZEH水準であることを示す認定書が必要認定書を用意できない場合はBELS 評価書や住宅性能評価書を取得
認定低炭素住宅70万円指定期日までに、物件登録と交付申請を行ったものが対象

「認定低炭素住宅」とは、「二酸化炭素の排出量を抑える機能を備えた住宅である」と、所管の行政庁から認められた住宅のことです。一定の条件を満たした場合は所得税や登録免許税の軽減もできるため、税金対策をしたい方は要チェックです。

条件を満たすことで、補助額の増額も可能!

地域型住宅グリーン化事業では、一定の条件を満たすと補助金額を追加することが可能です。複数の条件を組み合わせて最大40万円まで加算できるので、積極的な活用をお勧めいたします。加算条件と上限金額は以下の通りです。

加算条件上限金額詳細
地域材の利用20万円主要構造材(柱・梁・桁・土台)の過半に、地域型住宅グリーン化事業が定義する「地域材」を用いる
三世代同居への対応30万円調理室、浴室、便所又は玄関のいずれか2つ以上を、住宅内に複数箇所設置する※各設備に対しても条件指定あり
若者・子育て世帯への支援30万円補助対象の住宅の建築主の年齢要件あり※年度ごとに異なるため要確認または交付申請日時点で建築主が 18 歳未満の子供と同居している※子供がいなくても年齢要件を満たしていれば適用可能
地域住文化への支援20万円地域の伝統的な建築技術の継承に資する住宅のこと各地方公共団体が定める基準を満たす必要がある畳の間、瓦の屋根、襖・障子、木製建具、軒の深さ等の要素が3つ以上必要
バリアフリー対策への支援30万円第三者機関により住宅性能表示制度の高齢者等配慮対策等級(専用部分)の等級3以上と評価された住宅

特に新築住宅をお考えのお方にとって嬉しいのは、「地域材の利用」の項目です。ウッドショックや円安の影響により外国産の木材が高騰する中、比較的価格が安定しており、日本の気候風土にも合った木材を利用することは、コスト面でも性能面でもご家族の生活を支えてくれるでしょう。

さらに、地域型住宅グリーン化事業が定める組み合わせなら、加算条件を複数併用でき、最大40万円まで補助額の追加が可能。条件を併用できる組み合わせの種類は以下の通りです。

・「地域材加算」+「地域住文化加算」
・「地域材加算」+「バリアフリー加算」
・「三世代同居加算」+「地域住文化加算」
・「三世代同居加算」+「バリアフリー加算」
・「若者・子育て世帯加算」+「地域住文化加算」
・「若者・子育て世帯加算」+「バリアフリー加算」
・「地域住文化加算」+「バリアフリー加算」

出典:令和4年度 地域型住宅グリーン化事業 募集要項/地域型住宅グリーン化事業公式サイト

ゼロ・エネルギー住宅型への補助金額と加算金額を合わせると、最大で190万円の補助を受けられます。一生のなかでも、一二を争うほどの大きな買い物である住宅の購入。少しでも費用を抑えられるなら、地域型住宅グリーン化事業を活用しない手はありません。

地域型住宅グリーン化事業は他の補助金と併用できる?

地域型住宅グリーン化事業以外にも、新築の住宅を対象とした補助金はたくさんあります。住宅を購入する際よく耳にする補助制度は、ZEH補助金や、こどもみらい住宅支援事業です。

ZEH補助金とこどもみらい住宅支援事業に関しては、地域型住宅グリーン化事業との併用ができません。補助金額の大きさや条件の内容を見比べながら、最も適した制度を利用しましょう。こどもみらい住宅支援事業は、住宅の新築だけでなくリフォームにも対応しています。

ZEH補助金こどもみらい住宅支援事業
補助金額の上限
(住宅を新築する場合)
105万円60万~100万円
条件ZEHビルダー/プランナー登録制度に登録している事業者に依頼する子育て世帯※子供がいなくても、年齢要件を満たした若者夫婦世帯も適用可能
※わかりやすさを優先した表記をいたしております。詳細な情報や条件については、各補助事業の公式サイトをご確認ください。
※年度により補助金額が変わる可能性がございます。

地域型住宅グリーン化事業を活用して快適な木造住宅を建てよう

新築の木造住宅を支援の対象としている「地域型住宅グリーン化事業」。人気の施工業者だと1社ごとに支給される補助金額の上限の枠が埋まってしまい、定価で住宅を購入したり別の業者を探す手間がかかったりすることも考えられます。光熱費を抑えられる家に住みたい方や、快適に過ごせる住宅を子供たちに残してあげたい方は、早めに地域型住宅グリーン化事業の利用を検討してみてください。

出典:地域型住宅グリーン化事業グループ募集要領【令和 4 年度】/地域型住宅グリーン化事業
出典:令和4年度地域型住宅グリーン化事業グループ募集の開始について/地域型住宅グリーン化事業
出典:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)/経済産業省資源エネルギー庁
出典:ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>/経済産業省資源エネルギー庁
出典:長期優良住宅認定制度の概要について/国土交通省
出典:低炭素建築物とは/一般社団法人住宅性能評価・表示協会
出典:認定低炭素住宅に関する特例措置/国土交通省
出典:2021年度の経済産業省と環境省のZEH補助金について/一般社団法人環境共創イニシアチブ
出典:注文住宅の新築/こどもみらい住宅支援事業

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